「めだま」も楽しみましたが、こちらの作品も素敵な創作落語絵本です。
噺の枕も愉快で、スーッと落語の世界へ入って行けます。
神田錦町の古道具屋の甚平衛さん。
少しばかりずる賢いところが無くちゃ勤まらない商売。
甚平衛さんには、難しいようで霊験あらたかな成田のお不動様へ祈願に出かけることに。
当時は片道二日がかりの大仕事。
夜は浦安に泊まり、翌朝成田へ。
お参りを済まし、帰路昼飯時に民家の縁先を借りる事に。
このあたりが当時ののどかで人情味ある様子です。
さて、お茶など出してもらってにぎり飯を頬張っていたら、豊作の大根が、竹ざおが間に合わず、薙刀にまで掛け干してありました。
刃先に止まるもの触れるもの見事なまでの真っ二つぶりに、や?や?っと目を凝らして見れば、備前の国の名刀匠の作品。
そこで、甚平衛さんは、この薙刀を上手く安価で譲り受け、・・・。
この後の甚平衛さんの行動が、やはりお人よしの商売上手とはいえない所以と納得しつつ大笑い。
池の中に投げ込まれた刃先を拾おうと飛び込み、わが身も真っ二つになってしまうくだりは、聞くだけならば笑えますが、大人の私にはちょっと背筋が凍るようなブラックユーモアとして、引きつってしまいました。
息子は、なんとも淡々としたものでカラカラと笑っていました。
あ〜、この柔らかさが無くなってきたなぁ〜。