物語に寄り添うように、こみねゆらさんの美しい絵が全てのページに使われています。
花びら姫の美しいこと。妖精の可愛いこと。
そしてたくさんの愛らしい猫たち。
優しい少年。特別な存在。心の成長…。
まるでひとつの映画を見たような、深い感動と幸福感に満たされる、美しいお話でした。
食べ物の恨みは怖いですね。呪いを解く方法は、ただひとつ。
「とくべつなねこをさがすこと」
結末はまぁ予測できましたが、やはりその過程が良い。
表面の美しさだけで、こんな風にじっくり物事を見ること感じること考えることが、お姫様にはなかったんですね。
最後のお姫様の笑顔は、とってもあったかくて、とくべつ輝いていました。
大切なものを手に入れたお姫様は、前よりもっと美しく、素敵に見えます。
成長した花びら姫も魅力的で好きですが、まだ何も知らない時に、黒い子ねこを助けてやったあの優しそうな表情が、忘れられません。
ありきたりだからと、決して見捨てる人ではないんですね。
わがままで気まぐれなお姫様だけど、根は優しい人なんだなぁと思いました。
美しい姫にふさわしい、美しい物語。
贈り物にぴったりな愛らしい絵本です。