二十四節気の行事とそれにまつわる行事食を、実際に作って楽しめる絵本。料理の基本的な注意事項も丁寧に解説されているし、小学生くらいの子どもが危なくないようにできる工夫がされている親切な料理本。暮らしがどんどん変わってきていることも反映していて、外国から入ってきた行事や料理も積極的に取り入れている。例えばクリスマスのローストチキンやサラダなど。宗教色はあまり関係なくして、楽しい部分だけを取り込む日本の庶民の感覚をよく反映している実用書である。
どれも素敵でおいしそうだけど、例えば、現代の庶民で、自宅でローストチキンを作る人はどのくらいいるのだろうか?うちの近所だと、スーパーに年末年始はそれらしいお惣菜が山盛りになって売られていて、私を含めあまり裕福でなさそうな人たちが、適当に買っていく様子が見られる。
それが現実だとしても、時にはのんびりと、行事食を手作りしたいものだ。この本で紹介されている「お月見」や「重陽の節句」などはやったことがないが、こういう風に月を眺めて楽しんだりできる心と経済の余裕が必要だと感じた。平安時代のの貴族並みに、風流になったと自分に言い聞かせて、今年こそ「お月見」などと洒落こんでみようかしら。