いわさきちひろさんが描くつるの娘は、儚げで、でも凛として芯が強そうで・・・。ちひろさんが描く娘が、一番作品に合っているように思えました。
とにかく、おじいさんおばあさんが優しかったことが良かったです。娘にはありったけの布団をかけてあげ、自分たちは藁の中で眠ったり、娘に着物をあげたいと思ったり、餅の一つでもついてやりたいと思ったり・・・。おじいさんおばあさんの優しさが、胸にしみました。
娘がよその子どもたちとふれあう場面や、おじいさんたちがお餅をつく場面も、私には初めてで新鮮でした。
ただ一つ残念なのは、最後おばあさんが部屋をのぞいてしまったのが、娘を心配するがゆえに・・・。ではなかったように感じたのです。どちらかというと、軽い気持ちで、好奇心で・・・みたいに私には思えました。
他のつるのおんがえしでは、毎日はたをおる娘のことが心配で心配でたまらなくなり、とうとうこらえきれずに・・・というものもあったので、二人の優しいおじいさん、おばあさんも、そうであってほしかったなあと思いました。
でも、これまで読んできた つるのおんがえし の中で、一番好きな作品でした。読んで良かったです。
つるのおんがえしを探している方がいたら、ぜひおすすめしたいです。