ロシア生まれのバレリーナアンナ・パブロワの伝記絵本です。
物事を真に極めた人の生き方というものは、本当に美しいと思いました。
アンナの母親が、バレエと彼女を出会わせた事、まずはこれが素晴らしい。
どんな家庭環境にあっても、親は本物″に出会わせることに努めるべきなのだと思いました。
華奢過ぎた体型と幼過ぎる年齢で、帝室バレエ学校へ入学するまでの数年のアンナのもどかしいおもいと、変わらぬバレエへの情熱。
いかに『眠れる森の美女』に衝撃的な感銘を受けたのかが解ります。
色白・細長の顔に狭い肩幅、美しい足という理想的な体型に成長し、たゆまぬ努力と希代なる才能が、彼女を一流のダンサーにしていきます。
M・フォーキン振付の小品 『白鳥』が、彼女が踊り、のちに 『瀕死の白鳥』 と呼ばれるようになり、パヴロワの代名詞のようになったそうです。
そして、富裕層が楽しむ高尚な芸術とされたバレエを海外公演を通して、世界のいたるところへ足を向け、病気の人や貧しい子どもたち、そして辺境で暮らす子どもたちにも、舞台を選ばず披露したことが、尊い姿だと思います。
彼女の舞踊を目にして、多くの子どもたちが、夢を持つことの素晴らしさ、生きるための勇気をもらったことでしょう。
彼女の最期は、バレエダンサーとして舞台に立てなくなることを怖れ、胸膜炎の外科手術を断り、闘病の末亡くなったそうですが、真のプロフェッショナルの生き方だと思いました。
凍てつくロシアでの少女時代の雪や、踊っている時の小花、エンディングの白鳥の羽根の散りばめられた背景も美しい絵でした。
小惑星に名を残し、今は天上で舞っていることでしょう。