「童話屋」は現在「詩と絵本の出版社」として良質な本を出版していますが、かつては渋谷などに書店も構えていました。
開店したのは1977年で、「ほんとの子どもと大きくなった子どものための本屋」として、その店づくりや品ぞろえにこだわっていたそうです。
この本はその「童話屋」で読書相談員をされていた向井惇子(あつこ)さんが、2003年(平成15年)の秋に東京の目黒区東山社会教育館が企画した「子育てに絵本を」という講座で2回講演されたものを記録として編集したものになっています。
向井惇子さんは1931年に生まれ、2017年に亡くなっています。生前の活動は多岐にわたっていますが、巻末に掲載された東山絵本勉強会の星望さんの「受け継がれていくもの」という文章の中で詳しく紹介されています。
「子育てに絵本を」というタイトルの講演でしたが、向井さんは「赤ちゃんに、本は必要ありません」と言っています。
どういうことかというと、赤ちゃんが言葉の大切さをわかるようになってからで絵本を読み始めてもいいと言っています。
それがだいたい2歳過ぎ。
しかし、だからといって、それも個人差があるので、決めつけないことも大事だと言われています。
また、絵本を選ぶときに大事なこととして、こうまとめています。
もっとも大事なのが、お話。
その次に絵ですが、お話を深く理解できるもの、また楽しめるもの、そして美しいこと。
なによりも、選ぶ人がきっちりと吟味すること、つまり自分で読んでみることを薦めています。
でも、どんな絵本を選べばわからない人はいるでしょう。
そんな人のために、向井さんが薦める絵本や読み物のリストも付いているので、安心です。