表紙もさることながら、一枚めくったページに表れる、少し間の抜けたぼうしうりの挿絵に、強烈に引き込まれました。一目で、異国の匂いがし、時代を超えた古典であることを感じさせてくれます。そして、これから始まるお話が、ユーモアに満ちたものであると期待させてくれます。
最初のほうは、少し字が多いかな、と思いながら読んでいましたが、ぼうしうりが眠りから覚めたところから、とてもテンポよく、ページは進みます。
帽子をとられ、ぼうしうりがかんかんに怒っているのに、さるたちは「ツー、ツー、ツー」というばかり。次のページにはオチが待っているのかしら、と思ってページをめくっても、なかなかオチにはなりません。読んでいる大人も、「この先、どうなるんだろう?」とどきどきしてしまいます。
大きくなったとき、案外覚えている絵本の1ページは、こういう絵かも??と思わせる、不思議な雰囲気の挿絵が、何よりの魅力だと思います。