ルールを守ることは大切だけど、それは目的ではない。なぜならルールとは、ひとがそれぞれ心に抱いている、思いやりの気持ちをひとつの形にしたものだから。
ここを、見失ってはいけない。
この絵本が伝えようとする主題は、幼い子供には少し難しいかもしれない。
けれどもこの絵本の魅力は、そうした道徳的なメッセージ以外のところにこそある、と私は思う。
というのも、ライオンや図書館をめぐる人びとの気持ちがそれぞれ、絵を見れば手に取るように伝わってくるのだ。
現実離れした設定でここまで感情移入できる絵本はなかなかないのでは。
要所要所で出てくる「走ってはいけません」のセリフのニュアンスも、
「ここでは笑っていうんだよ」
と娘4歳も理解しているようで、ああ伝わっているんだなと感心した。