「戦争」がテーマだったお話し会の前に手に取った作品です。
季節は、桃の節句に近づいています。
女の子のいるご家庭は、それぞれご家族の思いのこもったお雛様を飾られることでしょう。
しかし、こんな雛人形を何十年も宝として、大切にもっているおばあさんがいることも知って欲しいと思います。
戦災で家を失い、田舎の町へ引っ越し転校した先の小学校で親切にしてくれたシンペイくんとの思い出です。
粗野で唐突な言動のシンペイくんに、戸惑うこともありましたが、彼の優しさに気づき、良いお友だちになれそうでした。
空襲でお雛様も焼けてしまった主人公の女の子にと、シンペイくんが作ってくれた鉛筆雛。
お雛様にまつわる、戦争が市井に落とす悲しい影。
戦争を経験した人たちは、365日、どこかでそれぞれ悲しく苦しい思い出を振り返っているのですね。