スタルク作品の原点でしょうか? ☆☆☆☆☆ (10歳)
ウルフ・スタルクの自伝的な小編が2作。
うそつきだった自分、作文を友だちと競い合った自分。
スタルクの作品の面白さの基礎がここにあったのかと納得しました。
「うそつきの天才」
親のサインを模倣して自慢していたら先生にばれてしまったウルフ。
親に本当のことを話さなければいけないと思ったら、ウルフは家出してしまいました。
そこからの道中に繰り返されるうその連発。
あれこれあって家に戻ったウルフが改心するのかと思ったらやっぱりうそつきが始まりました。
でも、ウルフは夢を見ているのです。
空想の世界の主人公になっている自分。
子供らしくていいと思うけど。
子どもも納得でしょう。
「シェークvs.バナナ・スプリット」
ライバルのヨーランと作文の評価を競うウルフ。
先生の評価に納得のいかないウルフは、難しい言い回しを多用して「これじゃわからん」と言われたり、サービス満点の比喩を多用して「つまらん冗談をいうな」と言われたりします。
このサービス満点さがスタルク作品の制作信条だと思うのですが。
最後のどんでん返しが面白い。
ヨーランの読み上げた作文はノーベル作家スタインベックのパクリ。
それより面白いといわれたウルフの作品は、実話のような創造。
スタルクは人まねをしない作家、サービス精神旺盛なほら吹き作家なのです。
自分の方が納得です。