山の中で迷って、雪もはげしく降ってくる。
たまたま出くわした木の幹の家で、休むことをゆるされる。
主人だろうか、一匹のうさぎと静かに燃える暖炉の火を見ながら
同じく迷い込んだのだろう、いくつかの動物たちと寄り合って
まどろみ、疲れを癒すうちに時間だけが過ぎていく。
ふしぎな、ふしぎなおはなしの絵本だ。
ここはひょっとして「マヨイガ」なんだろうか?
ぼくって、一体だれなんだろう?
窓から洩れでたひかりに眠気をこじ開けられた時、
ぼくはすこし、元気になっていた。
「ありがとう、ぼくいくね」と言い残して
ひかりの中へ戻っていった、なにも持ち出さずに。
うさぎはそれを、残念に思っただろうか?
賢治の言っていたデクノボーって
ぼくみたいな魯鈍のことを言うのかなあ…。
鈴木まもる氏に、感謝。