秋田を舞台にした昔話です。
かあちゃんを早くに亡くしたふきは、「・・ふきにはりっぱなよめいりをさせてくろ。・・・」というかあちゃんの遺言を守ろうと猛烈に稼ぎ出すとうちゃんとふたりぐらし。
そんなふきの遊び相手が、だいば山の大男・大太郎。
時にふきは、大太郎に能代の町の様子を繰り返し繰り返し話してやります。
きっと、とうちゃんとの楽しい思い出なのでしょう。
杉の木を切り倒した後のとうちゃんの作業の様子もこと細かに述べられていて、ツンと突き刺すような寒さの中、懸命に汗を流す様子が伝わってきます。
ある日、でんでろ山の青おにが山を荒らしにやって来て、とうちゃんがやられてしまった。
その日から、敵討ちを考え大太郎に青おにを捜させるふき。
大太郎が見つけ、ふきを青おにのところへ連れて行くと、・・・。
「山をあらすやつ、人を殺すやつ、とうちゃんのかたき、おらと しねっ!」
の“おらと しねっ!”にエッ?でした。
目を凛と見開いて、・・・簪を抜いて逆手に持った。
大太郎に振り向きざまに「さいなら!」と幼いながらも覚悟を決めた一言にも、胸がズキンとしました。
ふきのとうを見る頃に思い出す斎籐&滝平作品です。