電車にのりあわせた老若男女。あかの他人がちょっとした出来事で言葉を交わしあい、ご縁が出来ていく。
昭和の懐かしい感じの電車、人物描写。令和の子どもたちはどういう風にこれを読むのだろうか?
電車のシートに正座をしているおばあさん。椅子に腰掛けるよりも、正座のほうが楽だという人を何人か知っているが、育った環境や時代などにより、楽な姿勢は違うのだろう。
下駄履きの柔道部員が、なつかしい漫画を思い出させる。かっこつけて下駄なのかもしれないが、下駄を履くことで足を鍛える意味もあったとか。
あとの人は令和にもいそうな感じだ。昭和〜令和までの人たちが交流を始める話として読んでも面白い。この絵本は台詞がなく、読者がいろんな想像力を働かせて、自分だけの物語を作りながらお話を読む楽しみがある。
ひとりひとりの人物が、実に生き生きと描かれ、それぞれの背景やこれからの展開を想像させてくれる。
人とのつながりが希薄になった、あるいは架空の世界の思い込みだけでつながっていると感じたときなどに読むと、「つながっていく」ことへの希望や温かさが感じられると思う。
もっとも、今は「知らない人」に話しかれられると犯罪やセールスなどを警戒するようになったが…