この絵本のことは、柳田邦男さんの『生きる力、絵本の力』という本で初めて知りました。
柳田さんは東京荒川区で「親子で絵本を読んで感想の手紙を柳田さんに送ろう」という活動をしていて、この絵本のことも柳田さんに寄せられた感想にあったといいます。
「絵本は人生に三度」の二度めの子どもを育てる時、おかあさんが出会った一冊で、子育てに悩むお母さんに勇気と感銘を与えた作品として紹介されていました。
表紙絵にあるようにこの小さな物語の主人公はおかあさんの膝からなかなか抜け出せないゆみちゃん。幼稚園に通う3歳の女の子です。
朝のお迎えバスが来てもゆみちゃんは「おはようございます」もいえません。
幼稚園についても、お友達と遊べません。
若いママはどうしたらゆみちゃんが元気になるのか、「うんとうんと」考えました。
そして、ついにいいことを思いつきます。
この「うんとうんと」がいいですね。
なかなか外の環境になじめない子どもはたくさんいると思います。
そのうちに慣れると放っておくお母さんも多いでしょう。
でも、ゆみちゃんのママは「うんとうんと」考えるのです。
柳田さんにこの絵本の感想を送ったお母さんもだから素晴らしいお母さんだと思います。
ゆみちゃんのママはどんなことを考えついたのでしょう。
それは、「ゆみちゃんにげんきがでてくるおまじない」、ゆみちゃんのてのひらに「にこにこマーク」を描くことです。
ゆみちゃんはお迎えバスに乗る時にも、てのひらにママが描いてくれた「にこにこマーク」を見つめます。
そして、やっと小さい声でしたが、「おはようございます」と言えました。
でも、なかなかお庭で遊べません。
そこで、ママは「スペシャルマーク」を思いつきます。
さて、その効果のほどは。
作者の瀧村有子さんは1968年生まれの三児のお母さん。
2010年に刊行された作品ですから、瀧村さんのお子さんも少しは大きくなっているでしょう。
もしかしたら、まだ「スペシャルマーク」をてのひらに描いてもらっているかもしれません。