絵本作家の長谷川義史さんは講演などで「読みきかせ」ならぬ「歌いきかせ」をすることがあるらしい。
写真で拝見した限りでは独特な風貌だし、長谷川さんの描く絵もその風貌を裏切らない? 個性的だし、文はめちゃ大阪弁だし、だから長谷川さんが歌う絵本作家といわれてもそんなに違和感がない。
そんな「歌いきかせ」で歌うレパートリーのひとつに、この絵本のもとになった「じゃがいもポテトくん」があるらしい。
作詞が長谷川さんご自身で、作曲が中川ひろたかさんというから、本格的。
ちゃんと楽譜だって、この絵本のおしまいに収録されている。
この絵本はタイトルからわかるように、じゃがいも少年の「じゃーむす」君の物語。
じゃーむす君は親戚や家族とともに北の国からなんともユニークなお店屋さんが並ぶやおやさんの店頭にやってきました。
そして、おとうさんもおかあさんもいもうとも次から次へと買われていきます。
みんなに「さよーなら」というじゃーむす君。
長谷川さんはその別れの場面にそっと「かなしいはなしです…」と綴っているのですが、これがなんだかコミックソングの合いの手のようで、妙におかしい。
そんなふうにして離ればなれになったじゃーむす君一族に、再会の日がやってきます。
それは幼稚園のお弁当の時間。
コロッケに姿を変えたじゃーむす君の前にポテトフライに変身したおとうさんが。
おかあさんはポテトサラダになって会えました。
みんなのお弁当のなかにはじゃーむす君の一族が顔をそろえるという、なんともめでたいお話でした。