価値観の多様化する米国では「こうでなきゃいけない」という型がないので、家族観もみな様々です。選択の国ゆえにいろんな家族形態があり、この作品で取り上げられているのもその一つに過ぎないもの。子供たちが親のボーイフレンド、ガールフレンドと一緒に暮らすことは特に変わったことではなく、愛情が注がれていればそのほうが子供にとってよかったという例もたくさんあります。
作品中の女の子の境遇はとてもよく理解できます。サッカーやっていて、ゲームに夢中で、アイスクリームが大好き。この女の子は3・4年生ぐらいかな。こういうカップル、身近にいそうだからさらに感情移入でき、後半は泣けました。誰かのために一生懸命になることって、素敵なことだなと思いました。このカノジョが発表会で一番大きな拍手をしてくれたり、かけっこで一番最後まで待ってくれていたように……。カノジョのライフスタイル、価値観、とてもよくわかります。(鉢植えには日本語で話しかける、というのがおかしかったです!)オイルパステルのイラストも、ポップな感じがして女の子の語り口調に合っていました。
……ただ、パパにカノジョがいるのは離婚と決め付けないほうがいいかなとは思いました。死別(病死とか事故死とか)の可能性もあるし。米国は決め付けるのが嫌いな国なので、文脈から当てはまる可能性は広くしておいたほうがいいのでは……と出版社の解説(?)を読み感じました。