こどものクリスマスプレゼントに買ってから、自分ひとりで5〜6回読んで、やっと涙せずに読んでやれるようになりました。この絵本には、「ほんとうのうさぎ」という言葉が出てきます。それには、ふたつの意味があって、ひとつは「ぼうやにとってのほんとうの、自分だけの、今どきの言葉で言えばオンリーワンのうさぎ」、ぬいぐるみだけど話しかければ答えてくれるし、ちゃんと大切な時間を共有し合える、ぬいぐるみのおもちゃという枠をこえた、「ほんとうのもの」。そしてもうひとつは、ぬいぐるみではなく、身体をもつ生き物としての「本物のウサギ」。このぼうやの愛していたうさぎにとって、どちらが幸せだったかは読者の感性によって様々だと思います。そして、永遠のテーマでもあるかもしれません。また、物を大切にするという意味、「ほんとうのもの」になれたこども部屋の先輩の木馬の一言一言、こども部屋の妖精の素敵な魔法、原書からの「おもちゃの世界」へ引き込まれてしまいそうなウィリアム・ニコルソンの絵、深い深いそして大切に大切に読みたい…そんな一冊です。もちろん、息子の愛読書の一冊でもあります。