手にしてまずは表紙の美しさに心惹かれました。
実際に行ったことのある場所ではないのに、なんだか懐かしい気持ちに…。
中を開けば「ぼく」と「おおはしくん」の住む世界が、味のある絵で細部まで丁寧に表現されていて、グイグイとお話に引き込まれて行きます。
中でも、いきいきと描かれたカメやザリガニの絵の見事なこと!
今にもせせらぎが聞こえてきそうな川や、背景にそっと登場する犬やカラスや、ちょっと笑える遊具まで…本当に隅から隅までじっくりと楽しめるステキな絵です。
お話もこの絵に見事にハマっていました。
2人が1匹の亀(かめた)を通じて友情を育んで行く様子を追って行くうちに「そうそう!子供の頃の“1つ上”って、それだけでずいぶん頼もしく感じたなぁ…」とか
「秘密基地、昔みんなで作ったなぁ〜」とか…。
いつの間にか自分自身も子供の頃の気持ちに戻って、2人と同じ目線でストーリーに入り込んでいました。
絵本ナビ内で連載されていた「デビュー日記」も毎回楽しく読んでいました。
作者のくせさなえさんや担当の編集者さん、装丁の祖父江慎さんなど…このデビュー絵本が世に出るまでのみなさんの熱い想いが伝わってきてワクワクしました。
かめたが泳ぐあの見せ所のシーン、このデビュー日記を読んで「なるほど〜!このシーンが完成するまでにそんな事があったんだ〜!」とビックリ♪
1度読んだだけで満足しておしまいではなく、手元に置いて何度も繰り返してこの世界を味わいたくなる…そんな懐かしくて温かい絵本ですね。
これからの活躍が楽しみな作家さんです!