「リサとガスパール」シリーズの訳や、言葉遊びの絵本作家としてつとに知られる石津ちひろさんの作品。
物語は、
「ぼくがまだ、こどもだったころのこと。
夏休みの何日かを、とうさんの妹、
ももさんのいた南の島ですごしたことがある。
空港まで、とうさんにみおくりにきてもらって、
はじめてひとりで飛行機にのったんだ」
という書き出しで始まります。
ぼくの回顧録という形式をとった絵本です。
ぼくが南の島で過ごした時間は、何処か切ない気持ちにさせられるもの。
誰にもある、淡い思い出を綴ったものと言えそうです。
でも、読後感にある寂しさのようなものは、何なのでしょうか?
まるで、ももさんがもうこの世に存在していないような気持ちに駆り立てられてしまいました。
淡々と進行する物語だけでなく、絵も暗いシーンが多く、南の島の飛び切りの明るさが感じられず、どう読んで良いのか、評価の難しい作品だと思います。