表紙の絵を見て、泣き出す子もいるかもしれません。
その一方で、かわいいと頬ずりする子もいるかもしれません。
それほどインパクトのある表紙。大玉トマトの「トマトさん」の顔がデーン。ぜひ、裏表紙も見て欲しいのですが、「トマトさん」の後頭部が、こちらもデーン。しかも、真っ赤。
これだけ見れば、この絵本がトマト、そしてこれは大玉トマトです、の物語だってわかります。しかも、タイトルが「トマトさん」。
大玉トマトの「トマトさん」にどんなことが起こるのでしょう。
ある夏の昼下り、真っ赤に熟れたトマトさんが枝から落ちてしまいます。トマトと結構簡単に枝から落ちてしまいます。ミニトマトをもぐのも、指でチョチョイとすれば、ポトリととれます。
そんな具合に「トマトさん」は枝から離れたのですね。
「トマトさん」の耳に小川の音が聞こえてきます。しかも、その小川にミニトマトたちがころころ転がって、飛び込んでいます
何度もいいますが、本当にミニトマトは枝からポトリと落ちやすいのです。
ところが、大玉トマトはそういうわけにはいきません。
ミニトマトにようにころころ転がって小川で泳ぎたいのに、転がれないのです。
そこで、みんなで「トマトさん」を転がそうと虫たちが集まってきました。
ここから、虫たちの懸命な努力が始まるのですが、読み方次第では落ちた大玉トマトを食べようと虫たちが集まってきたみたいに見えてしまうのです。
それというのも、「トマトさん」の表情がなんだか熟し過ぎて、虫たちに狙われそうなんですもの。
ここでは虫たちはみんないい子。小川で泳ぎたい「トマトさん」のために、皆で力を合わせます。
そして、ついに「じゃっぷーん!」。
熟し過ぎたトマトも冷たい水で冷やしたら、きっとおいしくなるのでしょうね。
結局、「トマトさん」はひと泳ぎして、河原にあがることになります。
本当は「トマトさん」に川をどんぶらこどんぶらこって流れて欲しかったな。
おばあさんに見つけられて、そこから生まれたのが「トマト太郎」なんてなれば、また別の話になってしまいます。