友人に「一番好きな絵本は?」と問われて、考えに考え抜いてやはりこの絵本と思ったのがこの『ルピナスさん』です。
バーバラ・クーニーの繊細で美しい絵もさることながら、おじいさんに言われた「世の中を、もっとうつくしくするために、なにかしてもらたい」という言葉を大切に、生涯を通してその「なにか」を考え続ける姿にとても共感できるからです。
子どもの頃から、志を持って生きる強くて優しい女性に憧れる傾向のあった私。
ルピナスさんは、功成り遂げたとか目覚ましい功績を残したというわけではありませんが、
市井の片隅で、人知れず「世の中を、もっとうつくしくすめために」と行動している姿に、私もこんな生き方をしてみたいと思うのです。
『ルピナスさん』を出産祝いに贈られているというお話も聞いたことがあります。
ルピナスさんが、花のたねを植え続けたように、この絵本を読むことでルピナスさんの考えに共鳴し、自分にできる何かを探し続ける方も多いのではないかと思うのです。
良質な絵本は、人の心を耕し心に言葉の種をまき、いつか美しい花を咲かせようとする気がします。
そんな絵本の見本のような作品だと思います。