千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵の地獄絵巻を再構成したものです。
不意に地獄に引きずり込まれた主人公が、地獄行きを危うくのがれたものの、
地獄をしっかりと見学させてもらい、余命は正しい行いをすることを決意する、
という筋立てです。
やはり地獄絵巻の絵の迫力がすごいですね。
老若男女問わず、責められる様はやはり残酷でしょう。
とりわけ、親より先に死んではならぬ、という切実感は、子どもたちに伝わると思います。
「子どもたちよ、命を粗末にするなよ!」の文章が印象的です。
地獄に行きたくないから、善行をする、というのは少しポジティブな考えだと思いますが、
地獄というものを造形し、人々の行いをいさめてきた、古来の知恵を体感した読後感でした。