個人的には何かを頑張る絵本はあまり好きではありません。絵本からは、そんな現実的なことではなく、別の世界の何かを感じてほしいと考えています。(同じ理由でトイレトレーニング用の絵本とか、泣かずに幼稚園に行けるようになる絵本とかも好みではありません。)
でも、この絵本は、そんな頑張る絵本の中ではちょっと異色な気がしました。まず、さらんくんが、トランペットを割り当てられたのに、音が出ないことにすぐに飽きて昼寝して過ごすというという不真面目さが、ちょっととぼけた感じがしていいです(他のこの手の絵本では、「なんで僕だけできないんだろう」とまじめに落ち込んだりしますよね)。また、女の子に手伝ってもらって夜中に練習したトランペットが音が出るようになって以降、うれしくて楽しくてすっかりそれが趣味のようにになっています(他のこの手の絵本では、頑張って皆に追いつきましたという展開が多いように思います)。苦手を克服したというマイナスな感じではなく、趣味ができたというプラスな感じがいいのかもしれません。動物園が火事になった時に、そんな大事にしていたトランペットを置き忘れてきてしまっているダメさもまたいいです。
そんな出来事の中で自然に女の子との友情が芽生えているところも素敵です。
2歳半の息子には、まだ何かができないとか、練習するとかいうことは分かっていませんが、小さなさらんくんを探すことに熱中していました。ちょっと早すぎた感じがしますが、もう少し大きくなったらまたじっくり読んでみたい絵本です。