表紙を見て写真かな、と思いましたが、
よく見ると、克明に描かれた絵でした。
でも、独特の臨場感が出ていています。
作者が出会ったユダヤ人女性の実話だそうです。
彼女は赤ちゃんの時、強制収容所に行く貨車から、走行中に放り投げられたというのです。
それは、もしかしたら生き延びてくれるかもしれない、という両親の願いそのものだったでしょう。
幸いにもその赤ちゃんは奇跡的に良識のある人に拾われ、
育てられたのが彼女だったという訳です。
戦争という現実と、生き延びてほしいという願いがよく伝わってきます。
この実話から感じ取ることはたくさんあると思います。
こうして、エリカのエピソードが、作者の手を通じて、
そして、翻訳者も目に留まり、私たちに届いた、ということにも、
感謝しなければ、と思いました。