【内容】
ケニアの西、ビクトリア湖の近くに住む12歳の少女、アティエノ。4人の兄弟と父母と一緒に、毎日大忙しで暮らしています。もう大人の女性と同じように、家の仕事が一通りできて、早起きして学校に行き勉強もして、休み時間は友達といっぱい遊んで、日曜日はキリスト教の教会に行く。時々は都会にお買い物なんかにも行ってみる。そんな普段の暮らしを、美しい写真で紹介した絵本。
写真・文 桜木 奈央子
【感想】
自然が豊か、というのは、こういうことを言うのだと思った。家は土と藁でできているような感じで、その辺で鶏などが放し飼いになっている。湖で釣った魚は食卓にのぼるが、おかずがなくて豆の煮ものだけの日も多いという。市場では値段はあってないようなもので、めいめいに交渉しながら、おしゃべりを楽しみながら売り買いしている様子。人の手が幸せを作り出している様子が感じられる。
水道や電気があまり整備されていないけど、へっちゃら。知恵を出し合って、みんな家の仕事をどんどん手伝って、大きい子は小さい子の面倒をみるのが当たり前で、協力し合って暮らしている。これが普通の暮らしだというが、これって、今は日本では(特に市街地では)見られなくなった風景だと思う。みんな自分だけのスマホの世界に入ってて、「友達」といいつつも、本当の友達じゃなくて、ただ「イイね!」とか「既読」とかしないといじめられそうだからイライラしながら機械をいじくりまわして、中毒になってすぐキレる…私のまわりの日本人たちは、そんな感じに見えるけど、それって本当に「先進国」と言えるのだろうか?精神病の先進国じゃ、カッコ悪いね。
もちろん、ケニアにだっていろいろな問題はあるはず。でも、人々がたくましく、生き生きと活動的に、協力し合って暮らしている。なんだか楽しそうだ。家族を、仲間を、普通に大切にできているのが、ものすごく贅沢に見えたのは、読み手の私が本当に貧しい心をもっているからだろう。ウガリを食べたら、元気になれるかな?