みんなは何かの役に立っているのに、ボクは汚いだけの「こいぬのうんち」。
誰の役にも立たず、だれからも好かれない。
そう思って悲しむ「こいぬのうんち」に語りかけるのは、たんぽぽ。
私がお花を咲かせるのには、あなたが必要なの、と。
私の根のまわりで栄養になって!と。
「こいぬのうんち」はとても喜び、優しくたんぽぽの根を抱きしめて、栄養を与え、きれいなたんぽぽの花が咲きます。
うんちは地面に溶けて形を無くし、たんぽぽの栄養になって吸収されてしまうので、「自己犠牲」を感じさせてしまいそうなのですが、この絵本では、ちゃんとたんぽぽのお花の中に「こいぬのうんち」がいる、という実感を与えてくれていると思います。
タイトルは「うんち」で、ちょっと笑いなのですが、しみじみと優しく、じっくり聞くことができるお話しです。
自分にできること、自分にしかできないこと。
「汚い」といじめられていたうんちが、実はきれいなお花になくてはならないものだったということ。
読後、春のようにあたたかい気持ちが残ります。