父が数字が大好きな息子と安野光雅ワールドの虜になっている私の為に
買って来てくれました。
すぐに、繰りかえされる2つの種のうち1つを食べて1つを植えるの単
純さに惹きつけられ、でも、これって永遠同じことの繰り返しだけれど
どうなるの? まさかこのまま続くわけがないよね?と思っていたら、
爆発的な数に!
この話は、たしかに算数の話なんですが、それだけじゃない奥深さがあ
りました。2つとも植えることにした時が、まさに人間が利益や財産を
増やす瞬間だったのでしょう。
そして努力と共に順調に財産を増やし家族が増え、ところが台風がやっ
てきて洪水になり....
もうじき東日本大震災から1年目を迎えますが、この話がとても被災者
の人々とダブりました。
でも、この本には希望があるのです。手元に残った少しの種からまた始
めるのです。
まだ何も変わらないのかもしれないし、結局は同じように被災した訳で
はないから、被災した方々の本当の気持ちは分っていないのかもしれま
せん。でも、どうか、この本の最後のように、彼らがまた初めから始め
ようという希望がもてることを祈ってやみません。
そして、この本は安野さんは本来そのようなつもりで描いたわけじゃな
いと思いますが、そういった人々を勇気付けたりする力を持った絵本な
のだと思います。
もちろん単純に、息子のように算数の話としても楽しめるし、秘めた力
を持つ本として、もっともっと人々の目にとまって欲しい本だと思いま
した。