兄弟を持つ母としては、このタイトルを見ると、手に取らずにはいられませんでした。
お話のテーマは兄弟愛というよりは兄性です。
保育園で時計を作ったお兄ちゃん。パパがお迎えに来る「大好きな3時」を作ったら、3時だと勘違いしてしまったところから始まります。
3時のはずなのにお迎えがこないので一人で帰ってみた。だけどパパもママもいないし、家も開かない。傍から見ていると「なんて可愛い勘違い」で済むけど、こんな状況に陥った幼い少年の心は不安でいっぱいのはず。
そんな少年は不安の中で、弟の存在を思い出しました。それと同時に、弟を「残された同志」と位置づけたのでしょうね。
少年はまだまだ小さな弟を守ろうと決意します。そして家を建てること、弟に何か食べさせること、将来パパとママの話をすること、一生懸命考えます。
その姿が力強いとともに、すごく痛々しくて、母親としてはウルウルきてしまいます。
ラストで“ママはなきそうなかおになった”という一文がありますが、そこにすごく納得できました。私も同じ状況だったら、愛しさが溢れて涙が出ちゃいそうだから。
息子たちは年が近いので、こんなふうにお兄ちゃんだけが一生懸命ということにはならないだろうけど、それでもやっぱり息子たちと重なって、すごく胸にしみる絵本でした。