小2のころの 長男に読み聞かせ、「ケンカのとき こういう気持ち?」と聞くと、「うん」とうなずいていました。
私は、幼い日の 負けたケンカを 思い出しました。
上に乗られた友だちに、「もう、(終わりで)いいだろ」と言われたときの屈服感。
遠い記憶の中にあったものが よみがえりました。
一対一で 他には誰もいなかったから、涙も出ませんでした。
たいは みんなの見ている前での完敗。
感じた屈服感は、ものすごく大きかったに ちがいありません。
「ごめんな!」と言われて 気が晴れるものではない。
新たにわきあがる、別の種類のくやしさ。
「おいしい!」「はらいっぱい!」と生理的に満たされ、くやしさが一時退散。
でも、決してなくならない くやしい気持ち。
最後のページいっぱいにえがかれる、たいの意地。
伊藤さんの絵が ガツン!ときます。
たいのくやしさは、「大人の男になるための栄養だな」と思いました。