このお話を初めて知ったのは、Eテレでやっていた「テレビ絵本」でした。
あまりの感動に、図書館でも何度も借りましたが、やはり手元に置いておきたいと、今秋ついに購入しました。
あらためて、本当に素晴らしい絵本です。
ドングリと小さな男の子との話ですが、それぞれに年月を経て成長していくので、すでに絵本を卒業してしまった年代の子どもさん、あるいは大人でも十分感動できます。
コウくんにとって、ケーキと名付けられたドングリは、宝物というより親友に近い存在。
春、初夏、梅雨、夏、それぞれの季節を一緒に過ごし、そしてまた秋・・・そのどの場面も、美しい色彩で描かれています。
そして、ドングリを無くした場面の息を飲むような真っ赤な夕日・・・
ドングリは成長しながらも、コウくんのことをいつも見守ります。
小学校に入学し、中学生になり、町もどんどん変わっていく・・・
それでも、ドングリはコウくんのことを思い続け、コウくんもまたケーキのことを忘れていなかった。
変わりゆくものの中にあって、変わらずにあるもの・・・
そして、奇跡のような再会。
「うれしいことです。うれしいことです。」
涙なくしては読めない名作、世代を超えて沢山の人に読んでもらいたい1冊です。