佐野先生の作品を読んでいると、途中でフランスの方の作品か?と錯覚してしまいます。
エスプリに富み、どこかシニカルで、哲学的人生訓の香りが漂う作品ばかり。
読後、得も言われぬ余韻を心に残してくれます。
読む年齢によって、受け止め方が様々で、年を追うごとにその作品の深さが浸みてきます。
こちらの作品も、8歳の頃息子に読みました。
息子は、ハハハと笑い、へんてこなおじさんだ、という感想を持ったようですが、先日先生の訃報を知り、再び息子も読みましたら、「おじさんは、雨の日の傘を差す楽しさをこの年で、初めて知ったのかね」なんてポツリ。
彼が父親になる頃には、“人生の楽しみ方”という視点で掘り下げ読めるようになるやもしれません。
初めて開く方は、このおじさんの奇行にお子さんと一緒に笑って読んでください。
私は、子育てにもこんな傘の扱いを息子にしているようで、反省させられた記憶もよみがえって来ました。
ラストの奥さんの一言にやはり今回も笑いました。
佐野先生のご冥福をお祈りいたします。