お月様がタイトルの絵本は数多くあります。
どの作品も、比較的優しくおっとりやんわりのイメージのお話しが主だと思います。
この表紙絵の怒り睨みつけ憤りを表に出した怖いお月様の表情は、敬遠される方も多いかもしれません。
中学年くらいのおこさんからお薦めした方が良いのかも。
異文化に触れる好機になるとおもいます。
さて、お話しは、 アラスカ南部に住む、北アメリカインディアンの一部族、トリンギット族に伝わる昔話を翻案したものだそうです。
『バーバ・ヤガー』で絵を担当したブレア・レントさんのこの作品の絵は、また異なる画風です。
ルーパンという男の子とラポウィンザという女の子が、仲良く日がな一日手作りの弓矢で遊んでいました。
ある夏の夜のこと、月を見上げて、不用意にもラポウィンザの発した月を揶揄する一言で、彼女は月に捕らわれてしまいます。
このページの幻想的な絵に惹かれ、お話しに夢中になってしまいました。
ラポウィンザ奪還のため、大冒険に立ち向かうルーパンの勇ましさが頼もしい。
矢でできた鎖のページにも驚きました。
天上へ昇っていく途中の食料調達も面白い。
空の国のおばあさんに助けられ、ラポウィンザを取り戻し月から逃げ切るまで手に汗を握る思いです。
絵本ながら、この一冊でこどもたちは幻想的な大冒険を疑似体験できると思います。