人食いとらを恐れず、刺さったかんざしを抜いてあげる若者と人食いとら。前世で何かの縁があったのでしょうか。それともこのとらは助けてくれた若者に何か感じるものがあったのでしょうか。それとも今まで食ってきた人間なのに、その人間が助けてくれたことがよほど嬉しかったのでしょうか。
人食いとらはまわりの迷惑を考えないまでの恩返しを一生、若者にし続けます。それは若者にとっても「ほとほと」困ってしまう程の恩返しです。
お嫁さんも幸せそうだから良かったのかも知れませんし、最後には暴れる人食いとらをしとめるのだから皆にとっても良かったのでしょうが、若者の心が晴れないという気持ちがよくわかります。人食いとらとしての一生の一時に若者の優しさが出会ったのですね。そういう出会いってすばらしいですね。大切にしたいと思います。
同じ韓国の話に人食いとらが登場する『うさぎのさいばん』がありますが、こちらのとらは恩知らずに描かれています。『ウェン王子とトラ』のとらとは信頼で結ばれます。色々の描き方があり、とてもおもしろいです。