寒い冬に向けてせっせと働く野ねずみたち。
ところが、フレデリックだけは働いていないようです。
「おひさまの ひかりを あつめているんだ。」
「いろを あつめてるのさ。」
「ことばを あつめてるんだ。」
とは、フレデリックの主張。
これって、働かなくて済むための口実なのでは?もしかして、
「ありとキリギリス」のような話の展開なのかと思ったのですが、
最後は意外な展開で、どんでん返しとなりました。
目に見えないことだけに、すぐには理解してもらえないけれど、
フレデリックにはフレデリックなりの、冬へ向けた仕事を
していたんですね。
サブタイトルに「ちょっと かわった のねずみの はなし」とあります。
学校生活や社会生活のような集団生活に於いては、とかく周りに
合わせること、周りと共存することが良しとされています。
ですから、フレデリックのような個人プレーは、きっとタブーと
されることが多いと思います。
けれど、このお話では敢えて、フレデリックの主張を誰もとがめる
ことが無く、そのまま受け入れてくれたおかげで、フレデリックの
隠れた才能が開花したんじゃないか、そんな気がします。
「ちょっと かわっていること」は、決して悪いことばかりでは無いんです。
それはきっと、何かの才能のサインかもしれません。
出る杭は打つのではなく、伸ばしてやろう!
そう思わせてくれる、素敵な作品です。