おじいちゃん だいすき」 大人が読んだ みんなの声

おじいちゃん だいすき 作:W.ハラント
絵:C.O.ディモウ
訳:若林 ひとみ
出版社:あかね書房 あかね書房の特集ページがあります!
税込価格:\1,320
発行日:1984年
ISBN:9784251005106
評価スコア 4.8
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  • 希有なリアリティ

    おじいちゃん・おばあちゃんを主人公にした話って・・・大概死生観を教えるという形を取るものが多い。
    実際、死生観について考えるのも大事よねぇと思いつつ、もっと違ったお話に作れないものなのかなぁと幾分物足りなく感じていた。


    まあ、確かに、ジョン・バーニンガムの「おじいちゃん」なんて読んだ日には・・・泣くこと必至の名作なんですが。
    でも、あまりにもその印象が強烈だったのか、他の物を読んでも二番煎じのように感じたり。

    そこに、W.ハラントの「おじいちゃんだいすき」

    ふと手に取って読み、そのまま魅入られてしまった。
    読後、とても感動した内容である、かつて課題図書であったというというのにも関わらず、既に絶版であるという事実をも知ってびっくりした。
    ・・・なぜなんだろう?

    おばあさんに先立たれて一人になったおじいさんが、都会の息子夫婦と同居することになり、その一部始終を孫の男の子の視線から描いたもの。
    結局おじいさんは、都会の生活に馴染めず、またかつての思い出の家に帰っていくのです。だれが悪いわけでもない。遠慮はあったかもしれないけれど、おじいさんも、息子夫婦も、孫であるぼくだってお互いに思いやりを持って接していた。
    本文で繰り返される「おじいちゃんだいすき」という言葉がなくても、十分ぼくのおじいさんにたいする気持ちが伝わってくるのは、そのおじいちゃんとの生活の日々の具体的なエピソードの積み重ねがあるからでしょう。

    本文の前と後ろに字のない、絵だけのコマ漫画の様なページがついていて、お話のプロローグとエピローグになっているのも効果的。息子夫婦のところに来るようになった顛末とおじいさんのその後の生活。文章で語るよりも、多くを雄弁に物語るその絵という仕掛けも素晴らしい。

    大人向けの短編に描き直せそうだし、映画にもできそうな完成度の高い内容。なにより、お互いの違いを認め、理解し合うというその姿が、絵本においては希有なリアリティがあるように思えて、わたしはとても好きなのです。

    強く復刊を望みます。

    投稿日:2011/11/21

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  • 大人の絵本

    おばあちゃんを亡くして一人になったおじいちゃんが、息子家族の家に泊まりにきます。
    見慣れない仕草が気になることも達の様子が、我が子と父の様子を見ているようで、他人事とは思えませんでした。
    日本の絵本で描かれるおじいちゃん(おばあちゃん)と家族の話とは、一味違うストーリー。
    リアリティがあって、とても心に残りました。
    大人の絵本とも言える作品ではないでしょうか?

    投稿日:2019/01/07

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  • 考え込んでしまいました

    おばあちゃんが死んで独り暮らしになったおじいちゃん。
    そのおじいちゃんを我が家によんだらどうなるのだろう。
    子どもたちにとってはおじいちゃん。
    夫婦にとっては、父親であり義理の父親であり。
    そんな関係と、住み慣れない街でのおじいちゃんの生活。
    現実感が有りすぎて、考え込んでしまいました。
    おじいちゃんにとっては、決して居心地の良い場所ではなかったようで、住み慣れた家に帰って行きます。
    物語の前後に、おじいちゃんとおばあちゃんが一緒だった時の暮らしと、我が家から帰った後の独り暮らしが描かれています。
    穏やかな独り暮らしが続けば良いと思いました。

    投稿日:2013/05/25

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  • 切なくて瞼が熱くなる話

    • YUKKOさん
    • 30代
    • ママ
    • 愛知県
    • 女の子11歳、女の子9歳、女の子6歳

    お話の内容を知ってか知らずか、
    小1の三女が学校の図書室で借りてきた作品です。

    おばあちゃんを亡くして一人になった おじいちゃんが泊まりに来ます。
    食べる時に音をたてたり、手鼻をかんだり、就寝時に入れ歯を外したりと
    今まで見たことのなかった、おじいちゃんの生活ぶりに興味津々な兄妹の姿が
    なんとも微笑ましいような可笑しみを醸し出しています。

    人目につかないように、早朝に内緒で公園のバラの手入れをしたり、
    長居し過ぎないうちに暇したり、その時にも孫たちやお嫁さんに
    プレゼントや謝礼を気遣ったり、おじいちゃんの律儀さがよく分かります。

    ワタクシゴトで恐縮ですが、私も5年前に母を病気で亡くして
    実家の父が一人暮らしをしているので、残された親を不憫に思う子供の気持ちも
    その気持ちを有り難く受け取りつつ、重荷になるまいと自戒する親の気持ちも
    その両方が手に取るように分かる気がします。
    両者の気持ちを考えると、なんとも切なくなって瞼が熱くなる作品です。

    投稿日:2009/07/29

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