アンデルセンのおはなしは子どもの頃たくさん親しんでいましたが、
本格的に原作を読んだことはなかったように思います。
ということで、原作に忠実な訳で絵も素晴らしいと松居直さんがお薦めされていた
今作を手に取りました。
私にとっては、「白鳥の王子」という題名で親しんだストーリーです。
11人の王子と末娘のエリザは、義母のお妃によって城を追い出されます。
白鳥にされた11人の王子を元通りにするため、
エリザは教えてもらった方法を辛抱強く実行しますが、たくさんの試練があります。
口をきかず、イラクサを集めて11人分の上着を編むエリザの姿は、
子ども心にとても印象に残るものでした。
今回じっくりとストーリーを追って、その深い背景やエリザの描写に触れ、
その奥深さを感じました。
読み物に近い文章量なので、じっくりと読める時に、お薦めしたいです。
控えめなトーンですが、それだけに、物語と呼応する絵もたっぷり味わってほしいです。
ワーグナーのオペラ、「ローエングリン」にも、弟を白鳥に変えられたエルザというヒロインが登場します。
彼女も婚約者に素性を聞いてはならぬという約束を課せられます。
かの地は、そういったストーリーが紡ぎだされる風土なのでしょうね。