マリーがドロッセルマイヤーおじさんからもらったクリスマスプレゼントは、
醜いくるみわり人形。
でも、マリーは、この人形の働きぶりに感心し、大事にします。
壊れて傷ついたくるみわり人形と一緒に眠りについたマリーが体験した、
不思議な出来事・・・。
マリーの優しい心がとても嬉しいです。
『くるみわり人形』のおはなしは、子どもの頃から大好きでした。
最初は音楽物語のお話を集めた絵本に、『ピーターとおおかみ』等と一緒にありました。
次は、サンリオの人形アニメーション。
そして、チャイコフスキーのバレエ。
ということで、私にとっては、バレエ用に脚色された、
クララという少女と、お菓子の国のファンタジーがメインのお話だとばかり思い込んでいました。
それだけに、ホフマンの原作に近い『くるみわり人形』を読んだ時は、
少しびっくりしました。
主人公の少女の名前はマリーですし、ピルリパート姫のエピソードなんて、
少し生々しくてびっくり。
でも、やはり、原作の味わいも知っておきたいですね。
この作品も、中井貴恵さんによる抄訳。
原作はもっと難解ですから、その足がかりとしてもいいですね。
原作の味わいはしっかりと伝わっていますし、
何より、いせひでこさん独特の淡い色彩の絵が素晴らしいです。
ツヴェルガーが絵を描いた『くるみ割り人形』とはまた違った味わいです。