辛いことがあったときにひっそりと読みたい大人向けの絵本。
二人暮らしの母親を亡くし、内にこもって社会からはみ出した少年と、路地に住み着いた三本足のムク犬との交流を描いた静謐な冬の物語。
無邪気になついてくる三本足とのふれあいで少年はささやかな居場所を見つけるが、三本足もまたはみ出しものであり、手酷い悪意の対象になっている。
彼らはこの路でひとりぼっちだ。
少年が街を去ることになったとき、三本足は路の終わりまで少年が載せられた車を追いかけるが、それ以上くることはできない。
このシーンと次のページに広がる無限の海・空の対比が心を揺さぶる。
街のシーンで背景に小さく描かれている少女は『ルリユールおじさん』のソフィか?