『モモ』と並び、エンデの作品の中でも特に好きな一冊です。
初めて読んだのは小学生の時でした。
あかがね色の布地に、二匹のヘビがそれぞれの尾をくわえ合って輪になっている表紙。物語の中の主人公が手にしている本と似た装丁のずっしりとした本は、それだけでわくわくするものでした。
各章毎に独立した、様々な異形の者たちの物語が繰り広げられ、読み応えのあるファンタジーという印象でした。
ある時、大人になってから再びこの本を通して読む機会がありました。
子どもの頃に読んだ時から、この本の重要な部分は、主人公が物語の世界に飛び込んだ後半部分にあると思ってはいたのですが、改めて読み返してみて、この後半部分に描かれている内容の深みにすっかり魅了されました。
読後、エンデという人は、なんて愛情深い人なのだろうと、感動で胸がいっぱいになったのを覚えています。もう、20年ほど前のことですが…
それからはエンデの晩年の作品を常にチェックして購入していました。
最近、閉塞感を感じているので、そろそろまたこの本の世界に浸りに行きたくなっています。
ずっしりとしたあかがね色の表紙の本が手元にあって良かったなあ。
子どもたちに、子どものうちに読んでおいた方がいい本の一冊として、真っ先に勧めたい本です。
ところで、子どもの頃の感想ははっきりとは覚えていませんが、ひとつだけ覚えているのは、主人公の少年はどうして無類の本好きなのに、落第するくらい成績が悪いのだろう、ということでした…