読むたびに、読後感が変わる作品です。
ルピナスは、日本で昇藤といわれているとおり、綺麗な花びらが、すっくと天に向かい、毅然とした姿で生えているお花です。
ルピナスさんの生き方も、花と同様毅然とし、凛とした美しいものだったと思います。
おじいさんの「世の中を、もっと美しくするために、なにかしてもらいたいのだよ。」の一言には、ドキリとさせられます。
幼いお子さんは、お花をたくさん咲かせた事で理解し読み終えるかもしれません。
しかし、高学年から大人の方は、この台詞で必ず立ち止まるのではないでしょうか。
“世の中にもっと美しさを”は、良書との出会いを導く仕事に就くことも、海外に出かけ見聞を広めつつおこなう小さな国際交流かもしれません。
人が生まれてきた意味を考える時、必ず指折り忘れたくないのが、他者への行為だと思います。
小さな力でおこなおう小さな行為も、そこに他者への想いがあることが、やはり美しいことだと思います。
久々に読み、ルピナスさんのこのような生き方は素敵ですが、揺るぎない意思の頬を、そっと撫でる孤独という風が漂う日もあったのではないかしら、思いました。