北国の厳しい自然の中で、出稼ぎに行ってしまった父母の帰りを、母が編んでくれたマフラーと一緒に残された兄弟たちと待ちわびている少年の心にホロリとくるお話です。
この草色のマフラーは、お母さんの春になったらかえってくるからそれまでしっかりねという、メッセージがこめられているようで、冬の暗く白い景色にこのくさいろが効果的にきいています。「やい、北風、はやく春をつれてこい。」と、つよがってはいるけれど、北風にマフラーを取られてしまい、マフラーがみつからなかったら、このままお父さんもお母さんも帰ってこない気がして、泣いてしまう男の子の気持ちが痛いほど伝わってきます。
見つかったマフラーの下から、春の訪れをつげるフキノトウが顔を出しているのをみつけて、なんとも言えない安堵感を感じました。
これからの、寒い季節にいかがでしょうか。