3枚の絵からなる世界は、さりげなく心の不安感をひっぱり出してしまいました。
瞬きする間に何が変わるのでしょう。
瞬きして、ちょうが飛び立つ所を目にしたとき、一見変化のない1枚目の絵と2枚目の絵の違いを探しました。違わないようで、飛び立つ準備をしている花にも動きはあるのです。
鳩時計が12時を指すとき、鳩が出てくるかどうか、眼は鳩の出てくる扉の一瞬に集中するのです。
ねことねずみの絵で、緊張感が増してきました。猫の怖さを2枚目の絵で語っているようです。
紅茶に入れた角砂糖が沈んでいく瞬間を見つめていた私は、不覚にもその背後にいたみつあみちゃんを意識できませんでした。
そして、まさかラストシーンです。
表紙の絵が予告はしていたのですよね。
一生は瞬きする間に、こうも変わってしまう無気味さを秘めているのでしょうか。
あまり神経質にならないで、酒井駒子さんの精度の高い世界を味わいましょう。