読書週間の歴史が古い。
もともとは1924年に制定された「図書週間」にさかのぼる。当時は11月の中旬だったそうだ。現在のような形になったのは戦後まもない1947年。文化の日をはさんだ10月27日から11月9日までの2週間となったのは戦後の2回目からだそうだ。
「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という趣旨のもとつくられたこの週間も、今年(2015年)で69回を数える。今年の標語は「いつだって、読書日和」。
雨がふれば室内で、晴れた日には公園のベンチで、そういつだってどこでだって本は読める。
電気がなければ、月の明かりでさえ読めてしまう。本というのは実に便利なものだ。
それに本さえあればどこにだって行ける。過去であろうと未来であろうと。秘境であっても大都会でも。
そんな本に見向きもしないなんて信じられない。
そんな人たちに、この絵本を読んでもらいたい。
ちいさな女の子ルイーズは黄色いレンンコートを来て、今日もおでかけ。
さてさて、どこに行くのだろう。
ルイーズは道のそこかしこでいろんな世界を体験している。道端でハーモニカを吹いている青年。大きな犬。古ぼけたおばけ屋敷のような家。薄暗いごみ捨て場。
とうとう雨まで降りだして、それでもルイーズはどこに行くのだろう。
彼女が着いたのは図書館。
ちいさなルイーズの前にずらりと本が並んでいる。
「ほんは、たんけんしたり、かんがえたり、ゆめをみたりするのをてつだってくれるんだ」。
ルイーズは本の世界を、自由に(そう、本を読めばいつだって自由だ!)とびまわっていく。
こわかったことも暗い気持ちもいつの間にか忘れてしまっている。
「ほんをひらけば、いろいろなせかいがみえてくる。ほんをひらけば、しらなかったこともわかってくる」
まるで読書週間の標語みたいだが、本当にそうなのだから仕方がない。
本を読まなくなった人たち、本を読めない人たち、がこの絵本を読んで、本の世界を楽しんでもらいたい。
最初のページの献辞に、作者のトニ・モリスンはこう書いている。「あらゆる場所の図書館員のみなさんへ」と。
これはきっと、図書館員さんへのエールだろう。