想像してみる、
一見なにもかもが異なっている、リスとアリとゾウ。ページから、独りよがりがあふれんばかりだ。家のこと、焚き火のこと、食事の量、味つけのこと、掃除のこと、夜空の星のことやら好みのことまでぜーんぶ。そりゃそうだ、ちがうんだもの、自分と自分以外は。
リスがさらわれた!事件だ、たいへんだ!
想像してみる、
小さな小さなアリが正義の味方、どうやってか囚われのリスのところにたどり着く。しかも助けを、ゾウを呼びに行くと言う。びっくりするほど頼もしい。駆けつけたゾウも怪力で、リスの自由を取りもどす。それぞれが、それぞれの意志で。
そしてあの家へ、みんなで帰る。
好きとか、ごめんねとか、ありがとうとか、うれしい悲しいとか、目に見えない気持ちはそう、ただただ美しい。自分以外がどう思おうとも、信じることがどれだけ清らかなことか。
白い紙の上で、文字たちと謳ってものがたる黒く細いペン画、ページいっぱいに広がる森色の想像、夜空に光る欠片の想像、不思議で懐かしい想いを誘う想像、みんな素敵な構成だ。
BL出版、翻訳者、作者 Daisy Mrazkovaに、感謝。