2003年のフランスの作品です。
最初にある作者の言葉が秀逸。
「本は窓に似ています。
本を開くと 心の窓が開いて、
知らない世界に飛び出せます」
本は、私達を知らない世界へと誘ってくれます。
ただ、それは、私達が本の世界に飛び込んでこそ。
本には意志がなく、自らが門戸を開く訳ではないのです。
この絵本は、その本が意志を持っているという話。
物語は、主人公の女の子のマリオンのかばんから、本が落ちるシーンから始まります。
本の表紙には、きらきら光る太陽が描かれていたのですが、光るものが好きなカササギが、巣に持って帰るのです。
巣に持ち帰ると、4羽の雛が餌と思って突付くのですが、本は
「痛いよう!」と叫びます。
そして、本は雛に本を読んであげるのです。(イカロス少年の物語)
その内容に合わせるように、意志を持つ本は飛び立つのですが、雛にも飛び立つよう促し、物語は大きく展開します。
本が意志を持つという発想は、なかなかのもの。
ただ、身近な存在の本が意志を持つと、こんなに凄いことになる位の展開を期待したのですが、ちょっと肩透かしを喰らった感じです。
絵は、最初は暗めだったのですが、後半は実に色鮮やかな絵となり、好感が持てるものだと思います。
また、本から文字が零れ落ちるといった小技も随所にあり、見るだけでも楽しめました。
本に意志を与えるという点で、ちょっと半端な感が否めなかったので、厳しい評価となりました。