シリアで犠牲になった後藤健二さんの本です。
映画、ホテル・ルワンダで有名なルワンダ虐殺後のルワンダについて書かれています。
冒頭はまだ混乱の真っただ中にあるルワンダ。
銃を頭に突き付けられ、持っていたお金を巻き上げられ、取材を続けられなくなり、あえなく帰国したところから始まります。
命がけの取材であることが、これだけで分かります。
扇動を受けツチ族の人々を殺害するフツ族の人々。
彼らはそれまでには隣人として仲良く暮らしてきた仲間でした。
平和な日々がある日突然終わりを告げる。
それも友人の手によって。
残虐な方法で。
それが子どもにも分かりやすい表現で淡々と描かれています。
でも本書の本領はそこからです。
ルワンダ虐殺を終え、生き延びた人々。
その人たちを支える人々。
いまだ苦しんでいるものの、前を向き進み始めた人々。
そういった人々の姿が描かれています。
家族を殺された人は、犯人を許すことができません。
いままで隣人として仲良く暮らしてきたのに、ある日突然刃を向け、逮捕されるまで謝罪の言葉も発しなかった。
でも、許さなければ自分の国はダメになる。
そういった葛藤を抱えながら許そうとし、良い国にしようと奮闘する姿はとても素敵です。
事件をきっかけに著者を知りましたが、もっと早く出会いたかったですし、もっとたくさんの本を残してほしかったです。