なんて柔らかくて温かな餞別でしょう。
仲間の想いが縫い込まれた毛布なんて、とてもいいアイデアですね!
森の匂いの枕もすてき。匂いは記憶としていつまでも鮮明に残るものですからね。
寂しくなった時、悲しくなった時、ヤマネコの心をそっと包んで温めてくれる、思い出の毛布 。
きっと涙だって優しく拭ってくれるでしょう。
ヤマネコを気遣うみんなの心が、どのページからも真っ直ぐに伝わってきました。
版画の黒と白に鮮やかな色がつくことで、思い出を振り返る場面、別れの場面でも湿っぽくならず、前向きで清々しい印象を受けます。
繊細なんだけど活き活きとしたタッチがとても美しく、思わず触れてみたくなりました。
甘えたり意地悪したり迷惑かけたりしたけれど、旅立つヤマネコと、それを見送る森の仲間の心はひとつ。
“また会う日まで、いってらっしゃい”
大切な人が旅立つ時に贈りたい…ぎゅっと抱き締めたくなるような一冊でした。