学校から帰ってくると、テレビのまえのソファにお客さんが据わって、お 茶をのんでいた。
………だれなのかな、と思いながら、ぼくはあいさつした。
………答えながら、ぼくは、この人に会ったことあるがどうか、いそいで考えたけれど、思い出せなかった。
こういうことって大人でもよくありますし、こういうシチュエーションから始まると私は読み手としてドキドキしてきます。
こういう出だしは個人的に大好きです。
結局このお客さんは気が付くといなくなってるんですよね〜。
でも、それから主人公のミキト君の周りではちょっと不思議なことがちょこちょこと起きはじめます。
いわゆるファンタジー要素たっぷりですが、
住宅地を建てるためにそれまであった池をなくし、立っていた樹齢300年もの柳の木を切ってしまうという、人間社会が発展してきたために行ってしまう自然破壊が実はテーマなのではないかな?と、思ったりしました。
でも、内容は決してこむっず化しく描かれていません。小学校2,3年生くらいのお子さんたちが納得のいく言葉で書かれていると思います。
『雨ふりマウス』たちや柳の精のミドリさんが特に何かするというわけではなく、何となくミキトくんといい関係が築けそうだったので、これからも共存していくのかな?と思っていたら、
自然破壊をすると、結果こういうことになりますよ〜というのを暗示したような終わり方をしていたのが、竹下さんらしいなぁと思いました。
とても読みやすくて面白いです。
「ちょっとした不思議」が好きなお子さんにはおススメです。