クレリアは小さな緑の青虫。眠たくなってウトウトしていた木の枝で「ちょっと寄って」と頼まれて、「いいわよ。にょろ」と体を縮める。次々やってくる虫たちにどんどん場所をゆずっていくクレリア。最後にとうとういなくなってしまうのです。最後の頁になってもクレリアはどこにも見つかっていません。
さて、最後の頁を閉じたあとからが、この本の本領発揮です。こどもたちは庭や散歩先で次々にクレリアらしき虫を発見して、大急ぎで報告に来てくれます。この本に付録として着いていた「クレリアを探しています」というポスターは、もちろん園の目立つところにしばらくの間貼られました。本の文中でクレリアが見つかっていたり、どうなったか何かヒントでもあったらこんなにこどもたちは夢中にならなかったでしょう。作者の作戦がちです。まんまとこどもたちはクレリアに夢中になってしまったのです。
私はこんなクレリアの人生?虫生?って素晴らしいと思います。人に場所を譲りながら本人も気づかない内にポンと消えてしまうなんて!憧れるなあ!