心に沁みました。つい値段を確かめてしまいました。これは手元に、本棚にいつもひっそり立っていて欲しい本です。
本を大切に思う気持ちは、もちろんおもちゃをはじめ物全般に通じると思います。
潰れたから新しいのじゃなくて、思い入れのあるこの本だから良いのだと思う気持ち。どうにか修繕してまた大切にしたい気持ち。それを汲んで動く職人の手。
なおるかな、どうなるかな、不安と期待で覗き込む女の子。
職人さんと女の子のやりとりは、本やその内容を通して繋がる本好きのおじいさんと本好きの子供といった雰囲気でとても心温まります。
本の製作過程が丁寧に表現されており、それもおもしろかったのですが、自分の本を自分でカスタマイズできるおもしろさも味わいました。
表紙の色を選んだり、自分の好きなページが表紙になったり、名前入りの(それも金文字で)自分だけの本が出来上がる楽しさったら。
私もそんな本が欲しい。「ネバーエンディングストーリー」に出てくるような重厚な本に憧れのある私。その装丁だけでかっこいいのに、そんなオリジナリティ。一生物。
図書館の返却本がひどいことはしばしばニュースにあがっています。そんな時代に本の、物の大切さ、それを大切にする人の心がよく伝わってきました。
海外絵本に見間違うようなしっとりしたパリの街並みと相まって、絵も内容もとても素敵な絵本です。
ラストは、作者が子供にくれた1Pでしょうね。